【がん周術期口腔機能管理】とは?
本日の症例は、
①病院の歯科口腔外科からご紹介をいただきました患者様(左上顎がんにより上あごを切除)に術後入れ歯と口腔ケアを依頼されたケース❗左上顎がんにより上あご切除❗保険診療で部分入れ歯を装着後1ヶ月経過良好❗
②病院の血液内科よりご紹介いただき、抗がん剤使用前に入れ歯と口腔ケアーを依頼されたケース❗
自由診療でフレキサイト(バネのない)の部分入れ歯装着❗
「周術期」という言葉は聞きなれない方も多いかと思いますが、簡単にいうと手術日を含めた手術前後の時期を指します。一般的に全身麻酔の手術を受けると身体の抵抗力が落ちやすく、合併症を発症しやすくなると言われています。そこで「なぜ口を気にするのか、口腔(口の中)ケアを行う必要があるか?」ですが、口腔内には実に多くの細菌(バクテリア)が存在していて、それが肺や血液の中に入る事で肺炎や感染などの重篤な合併症につながります。
全身の治療前から十分な口腔ケアを行い、手術時に“健口”(=口の中がきれいで術後に口が原因の感染を生じにくい状態)な状態に整えておくことが大切です。周術期口腔機能管理は口の清掃だけでなく飲み込みといった機能回復も視野に入れた治療・ケアを行うために、平成24年度から健康保険診療に導入されました。同時にがん治療を受ける患者さんは抗がん剤や放射線治療にも適応があります。これらの治療中は免疫力が低下(免疫抑制により白血球が最低下するナディア期)し、健康時にはかかりにくい細菌感染や口内炎・口角炎・舌炎が生じ口の状態が悪くなりやすいため、この時期にも口腔機能管理を行うことがとても重要です。
医療法人慈愛会は、2017年年度全国共通がん医科歯科連携事業の年間研修修了後、【2018年神奈川県・口腔がん周術期ケアー施設認定】を受けました。
地域医療に携わる医院として機能出来ますようこれからも精進していく所存でございます。
患者さんをはじめ近隣病院の先生方、今後とも医療法人慈愛会を宜しくお願い申し上げます。